
(株)インサイトの感謝イベント・セミナーから
「勝ち組歯科医院のポイント」
寶谷光教氏(株・デンタル・マーケティング社長)
年間160軒ほどの歯科医院を訪問しているが,経営の取り組みはこんなことでいいのか,と疑問に思われる歯科医院がある.泳げないのにプールに飛び込んでいるようなものである.治療は大切であるが,治療と経営のバランスが成功するために重要である.
まず,自院がどうなりたいかを考える.1年後,3年後,10年後どのようになっていたいのか“明確な目標”をもつことである.経営に行き詰まったら変わることである.現状に満足していているのではなく,変わる仕組みをつくることである.
経営者は何をしなければならないかであるが,まず経営者の仕事はスタッフが働きやすい仕組みを作ることである.67,000軒の歯科診療所があるが,倒産は昨年63軒である.日本の法人は約260万軒で,倒産は約10,000軒であり,歯科診療所はまだ厳しいとは言えない.
あるアンケートでは,治療費が高いほど,患者の満足度は低かった.保険治療に比較的多くの患者が満足している,このギャップを考えなければならない.不満をもった女性の70%は二度と前の歯科診療所に行きたくないと言っている.
多くの歯科診療所は時間が早いか遅いか,高いか安いかなど画一的である.“量の概念”ではなく,大切なのは時間の質であり, “質の概念”が必要である.ビジョンをもたないと組織は運営できない.また,効果的な経営計画も大切である.野球でいうとたまにプロになるのではなく,プロの練習をしてプロになるのである.
問題は売上高ではなく,利益をどれだけ残せるかである.それが経営計画である.数値をしっかり把握していかなければならない.経営はゴールからの逆算である.自院の現状を把握する仕組みを作ることである.
将来の夢をスタッフと共有することである.スタッフが満足しないと患者さんを満足させることはできない.また,スタッフのモチベーションを上げることである.
治療だけではよい経営はできない.“何のため”という答えをもっていなければならない.経営理念,ビジョンをスタッフに伝えることである.現在,ホームページを活用すると有効である.魚釣りと同じで,大きな海で竿だけで魚を釣るのは非効率であり,まき餌で魚を集める.ホームページで潜在患者を“見込み患者”にできる.美容整形外科は口コミがまったくないので,ホームページに力を入れており,内容を工夫している.
これからは医療コーディネータが必要である.韓国の診療所の90%にコーディネータがいるが,医院と患者さんの橋渡し役である.韓国は日本の貨幣価値の半分であるが,インプラントは1本80万円であるので,コーディネータの役割が重要視されている.患者さんとの個別面談にコーディネータの価値観がある.スタッフは化粧やファッションに関心をもち,会話の練習などをしている.スタッフが成長することであるが,ネガティブな面よりポジティブの方がモチベーションは上がる.
ポイントシステムなどでスタッフに恩典を与える.そのような要素を経営に入れていく.仕事をやらされているという感覚では楽しくない.スタッフが辞めない仕組み,楽しく仕事ができる仕組みにすることである.
(株)インサイトが感謝イベントを開く
新規開業や歯科医院経営を支援する(株)インサイトが7月21日,東京・中央区京橋のTKP東京八重洲ビジネスセンターで,“2008夏エリア・ワン感謝イベント”を開いた.セミナーと交流会であり,若手歯科医師が多数参加した.
はじめに,同社の渡辺慶明社長が挨拶をかねて,「顧客満足とは?」をテーマに話をした.また,同社の新しいビジネスの内容について紹介した.ついで,経営セミナーとして,(株)デンタル・マーケティングの寶谷光教社長が,「勝ち組歯科医院のポイント」と題して講演をした.
<渡辺社長の挨拶>

本日のセミナーに参加された方は,当社の新規開業でお世話になった先生とこれから開業を予定されている先生,さらに当社医療事業部の中古の医療器械をお買い上げの先生方であり,交流会では連携を取りながら横のつながりをつけてほしい.
先日,朝日大学の副学長をされている方と懇談したが,学生がどのようなことを考え,どのようなことに関心を持っているかをお聞きした.副学長は歯科の将来のイメージは明るいと断言していたが,大学附属病院の勤務医たちには将来の開業に対する悩みがあることも事実であった.
これまでの経営のやり方,切り口を変えることでまだ頑張れる業界であると思う.歯科医師は国家から保証されたライセンスもっており,歯科は権威で守られ,先生といわれ尊敬されてきた.
しかし,歯科医師は需給問題から市場原理に左右されることになった.患者さんから選ばれる立場になった.そこで「顧客満足とは?」をテーマにセミナーを開くことになった.
かつての顧客満足の定義が変わってきた.先生方は色々なセミナーで勉強し,経営努力をされているが,それでも経営がうまくいかない時代である.こうすれば,という答えが簡単にはみつからない.これまでは“顧客を満足させる”と言ってきたが,本来は“顧客が満足する”である.
セブンイレブンの伊藤社長は,“ライバルはほかのコンビニでなく顧客である”と言っていた.顧客の満足は常に変化していくのである.これまでの常識では,“200円おにぎり”は高い.しかし,“顧客が満足”するおにぎりなのである.
顧客のこと,患者さんのことを我々が一番知っていると言ったら,それは,無知であり傲慢になる.顧客が何を求め,何を必要としているかを知らなければならない.過去の成功事例に頼っては時代の変化,顧客の変化についていけなくなる.これからの医院経営に必要なものを探ろうとしても先生だけでは解決できないので,専門家のアドバイスを受けてほしい.(以下,顧客のニーズを知るための“患者アンケート”の実施内容についての説明と同社独自の診療圏調査についての紹介があった)
医療法人社団清志会自己破産を申請帝国データによると,医療法人社団清志会(東京・板橋区高島平,清藤太郎理事長)は,経営コンサルタント会社の(株)Methodsが自己破産したことにともない3月18日,東京地裁へ自己破産を申請した.
同法人は昭和55年,清藤歯科医院として開設され,平成2年法人化された.平成12年,Methodsから資金と人材派遣を受けてPET検(Positron Emission Tomography=陽電子(ポジトロン)放射断層撮影法の略で、がん細胞が正常細胞よりもブドウ糖を多く消費することに着目した検査法)のがん検診の西台クリニックを開設した.
同法人は平成16年には年収約16億1,600万円をあげていたが,平成18年に年収10億円1,300万円に落ち込み,さらに平成19年は約18億円の債務超過となった.また,Methodsが3月6日に破産を申請したため,資金援助や人材派遣が受けられなくなったので事業継続を断念した.なお,従業員77人である.
医療機関の倒産動向調査 2001年〜2007年歯科診療所は1億円〜5億円の負債が最多帯
帝国データバンクは2月6日,医療機関の倒産動向調査を発表した.2001年から2007年までの法的整理による医療機関の倒産は210軒.
年別では2007年が48軒で最も多く,以下,2004年32軒,2006年30軒,2002年29軒,2005年28軒,2003年26軒,2001年17軒の順であった.
特に病院は,診療報酬改定で連続引き下げになっており,医師不足が経営に大きく影響している.病院はこれまで6年間3軒から8軒の倒産で推移してきたが,2007年には17軒に倒産が急増した.
また,大規模病院へ患者が集中しており,中小規模病院を中心に厳しい経営環境に置かれる施設が除々に増加している.このため今後も医療機関の倒産は増加する可能性を秘めている.
なお,バブル期に過大な設備投資にともなう借入金の発生や本業以外の事業参入にともなう借入金も倒産の要因とされる.
なお,病院は59.6%が民事再生法,歯科診療所は82.5%が破産.負債額は歯科診療所1億円〜5億円未満が48.1% ,1億円未満が46.2%,5億円〜10億円未満が3.8%,10億円〜30億円未満が1.9%.
<歯科診療所の倒産動向>
2001年4軒
2002年10軒
2003年8軒
2004年12軒
2005年9軒
2006年9軒
2007年11軒

(株)インサイト特別企画経営セミナー「予防歯科導入の仕方とその後の歯科医院経営」講師:康本征史氏(康本歯科クリニック院長,千葉県柏市)が9月24日,東京・中央区京橋のTKP東京八重洲ビジネスセンターホールで開かれた.
康本氏は自らの体験を通して,予防歯科を導入する意義と収益を確実に安定させるコツなどについて述べた.
<講演要旨:予防歯科を導入する際の問題点と効果>
1)歯科衛生士専用のユニットが必要であり,歯科衛生士が複数いればなおいい. 2)予防歯科を始めたというインフォメーションのためのパンフレットを作成する.導入に際しては,ハガキなどで周知する. 3)仕組みをつくるために,半年間くらい経ってからやる. 4)歯科衛生士自身が収益をあげることで,歯科衛生士が経営のパートナーとなる. 5)スタッフのやる気が全般的に増す. 6)医院の雰囲気が変わる. 7)2階(治療室)の待合室の患者さんは治療するので沈んでいる. 8)1階(予防センター)の患者さんは定期健診(メンテナンス)であり,リラックスしている.空気がやわらかく,スタッフとの会話もはずむ. 9)患者さんのアンケートをとる.できるだけ記述式にして,意見を書いてもらう.アンケートは3年に1回くらい行い,200人以上集めるのが理想的である. 10)患者さんの意見には必ず応える. 11)アポイント帳はタイムマネージメントであり,お金をかける. 12)患者さんがスタッフにつくようになり,歯科医師に聞けないことなどもスタッフに相談したり意見を聞くようになる. 13)レーザー,ダイアグノデントなどの道具にこだわって失敗したが,予防に力を入れたことで,仕事上のリスク(歯を削る,抜くなど)が減る.予防は単純労働ではなく,知的労働だとスタッフたちが認識する. 14)私は他院を見学するときは,スタッフではなく,患者さんを観察する.患者さんの様子にその医院の答が出ているからである. 15)患者さんが待たされて,イライラしていたら,医院の空気がマイナスイメージとなる. 16)医院のコンセプトが変わるとスタッフが変わる,スタッフが変わると患者さんが変わる.歯科衛生士に本来やるべきことをやらせる.やりたいことやらせることで,ストレスが減ると思う. 17)予防歯科に力を入れたことで,患者さんは軽症化しトラブルも減る. 18)予防で効果があがれば,患者さんも喜び感謝もされる. 19)予防歯科はすぐに結果が出ないが,5年,10年続けることで自費も伸びて経営が安定する.
なお,終了後,康本氏にインサイドの渡辺慶明社長が質問し,2人のトークのあとに参加者の質問を受けた.懇親会が開かれ,参加者たちが康本氏を引き続き囲んで質問したり,アドバイスを受けていた.

70名余参加し,熱心に聞