記者の視点顎関節症の補綴治療も2009年夏までに厚生労働省保険局医療課の上條英之歯科医療管理官が,歯科自由診療は,「非常に高価な材料を使うとか固有の枠組み」があるため,「保険診療にそぐわない分野」と発言している.また,自由診療と保険診療の「技術は性格が異なる」とも言い切っている.(「社会保険旬報」2351号5月11日発行).これは具体的に何を意味するのであろうか.自由診療と保険診療の技術が,どのように性格が異なるのか,疑問が残る.
一方,策定を急いでいる診療ガイドラインは,「歯科医師と患者が特定の臨床状況で適切な判断を下せるよう支援する目的で,体系的な方法に則って作成された文書」と定義されている.
ガイドラインそれ自体は古くから存在しているが,現在主流となっているのは,「エビデンスに基づいたガイドライン」である.つまりエビデンスを吟味,評価し,その結果に基づいて,どのような治療をすべきか,すべきでないかなどの目安となるのがガイドラインである.
しかし,ガイドラインはあくまでも標準的な指針であり,すべての患者に画一的な診療をするものではない.
歯周病の診断と治療の指針(2007),歯科医療領域3疾患の診療ガイドライン(2002,咬合異常,顎機能障害,咀嚼障害),有床義歯補綴診療のガイドライン(2007),補綴歯科治療過程における感染対策の指針(2007),インプラントの画像診断ガイドライン(2007),接着ブリッジのガイドライン(2007)があるが,今後のガイドライン策定の主な課題は以下である.
<先進医療>1)インプラント義歯(2009夏まで).
2)顎関節症の補綴治療(2009夏まで).
咬合調整についても整理が必要である.
3)光学印象採得による陶材歯冠修復(2009秋まで)
適応症の精査と効果の再検証が必要である.
< 先進医療以外>1)今回の改定で新規導入技術および訪問歯科診療.
タイムスタディーの実施(AIPC等の新規技術や訪問歯科診療における特掲診療料の100分の50加算の適否等)
2)顎変形症における歯科矯正治療
適応症等を含め指針策定等を推進.
3)その他
技術の評価,再評価に関する提案を各学会は行うにあたり,指針策定や提案内容の精査,優先度の選定などを適宜行うことが必要である.
なお,厚生労働省は基本的考えとして,「保険診療に見合う技術であれば,経済的な制限はあるものの,おのずと保険適用されていく」としている.
(山本嗣信)