医療訴訟の審理期間の短縮実現へ東京地裁に医療集中部が設けられて7年が経過した.医療事件の審理の基本型は固まったとされている.
医療事件は,平成14年192件,15年180件,16年218件,17年195件,18年194件,19年201件であり,ほぼ年間200件前後で推移している.
既済事件数は平成14年100件,15年165件,16年254件,17年191件,18年238件,19年215件であり,平均審理期間は平成17年19.8月,18年20.14月,19年17.89月である.
また,未済事件の平均審理期間は平成17年13.66月,18年12.85月,19年11.94月であった.
医療集中部が設けられたのは,審理期間の短縮が目的であり,争点の整理に努めてきた.審理の基本型の構築もまた目的であり,以下主な内容と課題である.
1)診療経過等の事実関係に関する当事者の主張を医学的知見や法的主張とは峻別して,時系列的に整理し,診療録,レントゲンフィルム,看護記録等の証拠との対応関係を明記した診療経過一覧表を当時者の協力を得て作成する.
2)これとは別に医学的知見や過失,因果関係について双方の主張の対立点と整理し,裁判所が事実整理案や争点整理表を作成する.
3)争点についての当事者の認識を共通にしたうえで,集中証拠調べ,鑑定を行っていく.
4)適正かつ迅速な審理を行うためには,両当事者の協力が不可欠である.
5)個々の代理人の医療訴訟に関する知識,経験は様々である.また,本人が訴訟を提起するケースも散見される.
6)そこで基本型による審理を念頭に置きながら,個々の事案に適した審理を行っていかなければならない.
7)医師が負うべき注意義務の基準.臨床医学の実践における医療水準をどう認定するのかが,多くの医療過誤事件の主たる争点である.
8)医療水準の立証が基本であるが,鑑定せずに有責和解に持ち込むことを目指すケースも増えてきた.
9)3名の医師が法廷で鑑定内容について,口頭で意見を述べる.
10)医学的知見を証拠化しているので,専門員の活用が有用である.
11)医学文献の提出,前医,後医等の被告以外の診療録の提出や協力医の意見提出.
12)被告担当医の陳述書の提出,被告以外の調査嘱託書面,尋問,第三者医師の証人尋問などが行われる.
13)いわゆる患者のたらい回しでは,転送義務をどのように考えるべきかを争われる事件も散見される.
検討会報告書に基づき,各分科会のガイドラインを調整,
歯科医師会も参加 「歯科診療所における歯科保健医療の標準化のあり方等に関する検討会報告書」厚生労働省医政局歯科保健課が7月10日,「歯科診療ガイドラインのあり方について」(歯科診療所における歯科保健医療の標準化のあり方等に関する検討会報告書)を取りまとめられたとして,報告書を発表した.主旨は以下である.
「歯科診療ガイドライン」はEvidence Based Medicine(科学的根拠に基づく医療:EBM)による診療ガイドラインであり,一般の歯科診療に従事する歯科医師が特定の臨床状況のもとで行う,歯科疾患の予防及び治療の適切な選択,意思決定を支援するものである.
従って,「歯科診療ガイドライン」は手技の解説や保険診療の指針等とは異なるものである.また,本ガイドラインはいわゆる歯科医師の裁量を規制する趣旨のものではない.
「歯科診療ガイドライン」の作成手順について・基本的にはMedical Information Network Distribution Service(医療情報サービス:Minds)の「診療ガイドライン作成の手引き2007」を参考に作成するが,歯科の領域の特殊性を考慮して作成することが大切.
・テーマとして一般的な歯科疾患が考えられるが,どのようなテーマが必要かは日本歯科医学会及び日本歯科医師会で検討されるべき.
・Clinical Question(臨床上の疑問:CQ)の作成が必要であり,CQ を作成する合は一般の歯科診療に従事する歯科医師を対象として収集すべき.
・患者の視点に立ったPatient Question(患者の疑問:PQ)の収集は必須.
・エビデンスのレベルから決定される推奨度が必須であり,推奨度の決め方については本歯科医学会及び日本歯科医師会で検討されるべき.
「歯科診療所における歯科保健医療の標準化のあり方等に関する検討会」委員名簿
石井拓男(東京歯科大学千葉病院長)
○江藤一洋(日本歯科医学会会長)
江里口彰(日本歯科医師会常務理事)
杉崎正志(東京慈恵会医科大学教授)
住友雅人(日本歯科大学生命歯学部長)
辻本好子(NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML 代表)
花田信弘(前国立保健医療科学院口腔保健部部長)
藤田尚(新潟県立看護大学准教授)
森田学(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授)
○:座長(敬称略,50音順)
報告書全体はhttp://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=129439