
日本歯科技工学会関東支部第5回総会・学術大会から
平成20年度日本歯科技工学会関東支部第5回総会・学術大会が7月20日,宇都宮市駒生の栃木県青年会館コンセーレ「アイリスホール」で開かれた.今回は今後の歯科事情を見すえて“「21世紀のデンタルテクノロジ」―技術とコミュニケーション―”をメインテーマとした.関東支部は,1都7県,3,000余名の会員がおり,多数が参加し研鑽を深めるとともに,会員相互の交流・親睦,情報交換の場となった.講演のなかから,“「CAD/CAMとジルコニアを臨床でどう活かすか」―見えてきた! これからの歯科技工―”木村健二氏(協和デンタルラボラトリー)の要旨を紹介する.
「CAD/CAMとジルコニアを臨床でどう活かすか」―見えてきた! これからの歯科技工―
木村健二氏

2007年,私はドイツ・ケルンで開催された展示会で,歯科界の新たな潮流を感じた.2年前には20社であったCAD/CAMの展示が80社,4倍になっていた.本年は100社を超えると思う.CAD/CAMが工業界のようにあたりまえになったのである.
ジルコニアおよびその関連商品を展示したブースが2年間で数十倍になっていた.この理由は,一般工業界からの技術転用や歯科界におけるCAD/CAM市場の著しい成長,審美や体に優しい素材への関心の高まり,そして金属の価格高騰にともなう代替商品としての安定供給が見込まれるジルコニアへの関心の高まり等の要因が考えられる.
CAD/CAMは私たち歯科技工士にとって多くのメリットをもたらしてくれるものだと考えている.メーカーから規格の定まった素材を仕入れ,削り出すことで,常に一定の品質を取引先に提供することができる.
これまで悩まされることが多かった,間接法によって生じる誤差,熟練が必要とされる鑞着作業,メタルフレームの変形やクラック等のトラブルが減り,その分自信をもって設計や形態に取り組むことができるようになった.
また,CAD/CAMはジルコニアばかりではなく,金属やレジンなど様々なマテリアルを削り出すことが可能である.CAD/CAMはますます進化していくことが予想される.CAD/CAMとジルコニア,そして歯科技工士の匠の技をうまく組み合わせていくことで,新しい時代の歯科技工が見えてくると思う.
今後,厳しい目で見ると技工物は減少する.歯科は予防の方向であり,海外で作成された補綴物も入ってくると思うが,これは防げないだろう.これまで14,5回中国へ行く機会があったが,中国に対抗するためには,仕掛けをして,色々な動きをしていかなければならない.最終的に患者さんがどちらの補綴物を選ぶかである.
千葉県松戸市で松戸企業大賞を授与されたが,歯科技工だけを見ていると他の世界が見えなくなる.1つひとつの積み重ねで,松戸企業大賞につながったと思う.企業として社会的な責任を果たさなければならない.会社は個人のものではない.
歯科技工の基本は患者さんにとってどうかであり,患者さんが喜ぶか,歯科医師も喜ぶかである.患者さんにとってよりよいものを提供し,皆が均等に豊かにならなければならない.
CAD/CAMが2機種入っているが,3台目も考えている.私は石橋を叩いても渡らない性格であるが,一歩先を考えると渡るほかない.そのための戦略,戦術を考えないと失敗する.我々の時代は220名の学生が歯科技工士専門学校にいたが,今は30〜40人である.歯科技工所には優秀な人が来てもらわなけばならない.
5年前のある講演会で,「私のように講演会の講師になる人材を育てたい」と言ったら,「優秀な人材は仕事を持って出て行くので,そのようなことは言うべきではない」とある人から助言をいただいた.しかし, 私の考えは変わらない.
歯科技工士専門学校の学生に夢を与えられない歯科技工界では,将来,中国に執って代わられるだろう.その企業から社員が抜けていかないように人材を育てたい.企業集団のよさがあり,企業集団の強みがある.今後の歯科技工がどこへ向かうかであるが,レーザーとCAD/CAMの組み合わせであり,時代はその方向へ向かうと思う.(テクニック面の話は省略)